勇気と愛のホットサンドイッチ Valérie Fontanié(ヴァレリー・フォンタニエ)

今回のインタビュー企画は、2012年からパリのオフィス街で人気のホットサンドイッチのレストラン、“La Parenthèse(ラ・パロンテーズ) ”を開いている、ヴァレリーさんに話を聞きました。

メル氏 : こんにちはヴァレリー。あなたに何度か会って、レストランの仕事に大きな情熱を注いでいるのを良く知っているよ!
どういった経緯でラ・パロンテーズを開くことになったのか教えてくれる?

ヴァレリー : 私はトゥールーズ(フランスの南東部にある町)出身で、幼い時から憧れていたファッション関係の仕事に就くためにパリに出てきたの。ファッション関係と言っても自分はそれほどクリエイティヴなタイプではないと思ったから、マーケテイングの勉強をして、大手香水メーカー就職したの。
香水の分野で仕事をするのが気に入ったから、そこで7年間勤めていたの。その後いくつかの美容関係の会社に勤めて、当時のキャリアや収入は、比較的安定していたわね。

でもその後、会社員として勤めているのに疑問を持って、40歳を迎えるタイミングで「もし自分の事業をしたいなら、今しかない!」と思って会社をやめたの。

メル氏:どうして会社員でいるのが嫌になったの?

ヴァレリー:私にとって仕事で大切なことは、関わる人がお互いに果たす役割を尊重感謝し合あうこと。そして、自分がした仕事がどんな結果をもたらすのか見届けることなの。
会社の中で働いていると、自分一人がした仕事がもたらす結果が見えないのよ。それに必ずしも頑張ったからそれが認められる訳じゃなくて、よいポストが欲しければ上司に上手く取り入ったり、、、処世術が必要でしょ。そういうのが自分の性分に会わなかったのよ。

メル氏:そこから、どうしてレストランを開くことになったの?

ヴァレリー : 飲食をやろうと思ったのは、元々私は食いしん坊だし、友人との間の「タピオカミルクティーおいしいよね、お店開いちゃおっか?」っていう雑談が直接のきっかけだったのよ。
その後、市が管理している市場にお店を出したかったから相談に行ったら、「タピオカミルクティーじゃパリの市場に合わない!」って言われて、、、。
でも、その場所が良かったから何とか通るような企画を練り直したの。4か月かけて企画書を準備して持って行ったのよ。
そうしたら場所を売ろうとしていた人の気が変わって、「やっぱり売らない!」って。もうガッカリよ!!!!!!!その後、数か月は落ち込んで、何もできなかったわ。

だけど、もう元の会社員の生活に戻るつもりはなかったから、「じゃあ、まず場所を探して、具体的なことは場所に合わせて決めよう!」って方針転換したの。それで今のレストランの場所を見つけて、オフィス街だったから、会社員のお昼休みにおいしい物を提供するお店を開こうって決めたのよ。

メル氏:飲食業って、まず自分のこだわりのメニューとかスタイルから始まって、それに合わせて場所や業態を決めていくものだと思ってけど、、、、ヴァレリーは柔軟性があってびっくりしちゃった。

ヴァレリー: 元々はそうじゃなかったわ。最初に作った企画書が、役に立たなかった経験で懲(こ)りたのよ。
ちなみに、お店の看板メニューのグリルドチーズ(アメリカ風チーズ入りホットサンドイッチ)も最初は数あるメニューのうちのひとつだったんだけど、開店当初から一番人気があったから、徐々にグリルドチーズ中心にメニューを再構成して今に至るのよ。

メル氏:6年前の起業当初と比べてヴァレリー自身が変わったことはある?

ヴァレリー : 自営業って、全部自分の責任で全てを切り盛りしていかないとお客さんにサービスが届かないから会社で働いている時とまた別のプレッシャーがあるのよ。私は元々、完璧主義なとことがあって、最初のころは材料が届かない、とか、冷蔵庫が壊れた、とか、一つ一つのことでパニックに陥っていたわ。
でも次第に「それじゃ体が持たない」って、もうすこし客観的に状況を見られるようになったわ。あと、私が何もしなければ時間は事態は動かないから、とにかく止まって考えてないで解決に向かって行動してみる姿勢が重要よね。

それと、レストランを始めた当初はコミュニケーションを一番に重視していた訳ではなかったんだけど、6年レストランを続けて来た今、私にとって、今の仕事の魅力はお客さんとの出会いなの。  サンドイッチを食べたお客さんが、最後に「おいしかったよ!ありがとう!」って言ってくれると、「あ!私のやっていることが人の役に立っているんだ。」って思えて、心から嬉しく思えるわ。

メル氏 : 5年、10年後とか、 この先のビジョンは?

ヴァレリー: 5年後、10年後!?どうかしら。飲食業をしているとは限らないわね。この仕事は本当に忙しくて、営業時間外でも、常にそのことばかり考えざるを得ないの!私の生活の90%は仕事のことなの!!とても疲れるし、私生活も取り戻さなくちゃ。

メル氏:うん、ヴァレリーはいつもレストランの話をしているから、そうなんだろうな、と思っていたよ。ちょっと失礼かもしれないけど、その生活の90%を占める仕事の中で、「情熱」と「金銭的利益追求」はどのくらいのパーセンテージなの?

ヴァレリー:お金?!!お金の為にこの仕事している訳じゃないわ。生きてくために収入は必要だけど、お金沢山稼ぐためだったら、絶対に他のことするわよ!!(笑)

同席のスタッフ:手を抜こうと思ったらいくらでも方法はあるけれど、サンドイッチに入れる人参も、工場でカットされたものではなくて手で削っている。味が違うから。サンドイッチに入れるポークは7時間かけて作っているのよ。自分たちが食べたいと思えるもの以外、お客さんには出せないわ。

ヴァレリー : そういった見えない努力がお客さんに伝わった時はとても嬉しいわ。仕事から得られる満足感、自分の仕事を自分で決めていけるっていうことも利益の一種よ。

メル氏 : 日本の読者に一言ありますか?

ヴァレリー : 是非、ラ・パロンテーズに来て、私たちのグリルドチーズを食べてみて!待っているわ。

メル氏 :  食べることが好きなヴァレリー、もし今日が人生最後の日なら、最後に何を食べたい?

ヴァレリー : ベーコン。Gras c’est la vie(グラ・セ・ラ・ヴィ 脂肪は人生!)よ。(一同笑)

時間ができたら何がしたい?という質問に、ヴァレリーは、迷わず「旅行に行きたい!」と答えてくれました。

インタビュー後記
ヴァレリーとは友人を介して何回か一緒に食事をしたことがありました。いつもレストランの話ばかりしていますが、その内容は自分の仕事やレストランを自慢するようなことではなくて、「仕入れ」「今週の仕込み」「設備の故障」などの話です。そんな彼女のバックグラウンドを知りたくてインタビューをお願いしました。皆さん自身が情熱を注いでいることや大切にしていることと照らし合わせて共感できる部分が見つかるといいな、と思います。
「与えること、共有すること“も”豊かさの一種だ」という彼女のような姿勢を持つと、個人も社会も魅力あるものになると思います。
ありがとう、ヴァレリー!体に気をつけて頑張ってね。Merci beaucoup Valérie!

インタビューではレストランは紹介しきれませんでしたが、
実は彼女のレストラン、ラ・パロンテーズと自慢のグリル・チーズは色々スペシャル!
食いしん坊のあなた、詳細はこちらです↓

La Parenthèse(ラ・パロンテーズ)の、本格グリルドチーズ・サンドイッチはいかが?
http://meru-shi.com/la-parenthese/